[LIVE REPORT]WILYWNKA Billboard Live TOKYO 2024.12.14

 

 12月14日(土)ビルボードライブ東京。「クリスマスシーズンの手前である人肌恋しい季節にあったかいアットホームで素敵な時間を届けられるようなスペシャルなライブにしたいですね」と話していたWILYWNKAのバンドセットによるライブが開催された。

 少々めかし込んだB-BOYとギャルたちが六本木駅方面から東京ミッドタウンへと吸い寄せられていく。その道中から「なんか緊張する」といった会話から、会場に到着するなり正装をまとったビルボードライブのスタッフの雰囲気に気圧されてか、「もうちょっときれいな靴を履いてくればよかった」といった声が漏れ聞こえる中、最終日であるセカンドステージのスタートに心を躍らせる。

 幾ばくかの押しでスタートしたライブは、まずバンドメンバーが定位置につき、即興よろしくサウンドを奏で始める。その音をかき分けるように袖からステージに引き寄せられるWILYWNKA。白のニットにベージュのチノパン feat. キャップスタイルのいでたちで、ステージに到着するなり「WILYWNKAです。よろしくお願いします」と会場を埋める観客にあいさつ。地元大阪での公演、そして同日のファーストステージをこなしてきたものの、最終日のせいか、どこか緊張の影もうっすら見え隠れ。

 冒頭を飾ったのはアルバム『Sacula』(2018年)に収録された「Good Fellows」から。当日は同名のスペシャルカクテル(CIROC×トマトジュースのブラッディメアリー)も販売されており、観客のテーブルにはWILYWNKAの当日にかける情熱と同じ赤く染まったカクテルがずらりと並ぶ。

 1曲目を終えるとバンドメンバーの紹介から、そのスペシャルカクテルの紹介と続き、「No Worries」で観客と足並みを揃えつつ、「自分の人生は自分で作り上げてこうぜ!」と「DIRECTION BY ME」で背中を押す。そして「2020」のパフォーマンスで、「なんか緊張する」と不安な面持ちだった来場客たちは、ようやく光の速さで緊張の糸の切断に成功。その展開を予見していたセットリストだったのか、「Return Of The Rap」が始まるや否や、会場のそこかしこでリップシンク大会が開催される。そう、ライブスタートからみんな一緒に歌いたかったに違いない。そしてセカンドヴァースからはブラック・ムーン「Who Got Da Props」のオケにチェンジするというB-BOY泣かせのアレンジが加わる。

会場の興奮度が増していくなか、イントロが流れた瞬間に歓声が沸き起こる「That’s Me」へ。そんな観客のいてもたってもいられない気持ちを察したか、WILYWNKA自ら「立ってもらっていいですか? 俺のライブ、そんな堅苦しくないやろ〜」とリラックスした雰囲気へ誘うMCを挟みつつ、「Return Of The Rap」同様、楽曲の途中からケンドリック・ラマー「Not Like Us」にビートをチェンジ。続く「Excuse Me」ではジェイ・Z「D.O.A. (Death Of Auto-Tune)」、「Company Flow」でナズ「Nas Is Like」とアレンジを重ね。その頃にもなれば2階席の観客も総立ちで呼応する。

 「〝TPOを守りたい系ラッパー〟代表として、ビルボードライブならではのショウを見せたい」とbillboard JAPANによる事前のインタビューで語っていたように、時にクラブツアーのような熱狂を生み出せば、ビルボードライブの雰囲気を最大限に活かすかのような洗練されたステージも巧みに使い分ける。「年末と言ったらみんな忙しい。なのに来てくれてありがとね。土曜の夜をゴージャスにしよう」のMCで「Gorgeous」へ。オリジナルのゴージャスさにより厚みが加わるべく、バンドとの相性の良さが際立つアレンジで、続く「Dying Love」で聴かせるパフォーマンスに。

 冷めぬ興奮を抱きつつスタンディングしたままの観客へ「話したいことがあるんだ。しっとりいくから座ってー」と着席を促したWILYWNKA。「平成と令和を生きてきた人間ならわかるはず。人様の考えが可視化できるSNS時代。俺が何を言いたいのか。(人と自分を)比較するのは貧乏やで!」と、一貫してSNSとの適度な距離感を保つWILYWNKAだからこそのメッセージを伝え、「RICHMAN」へ。現場に足を運んだ観客の誰もが思ったはず、「みんなの心をリッチに仕立て上げてくれているのはWILYWNKA、あんただぜ」と。

 「Feeling Like…」「CHILL OUT」と、「Our Style」でおなじみBrasstracks関連作品のパフォーマンスが終わると、「おかげさまで最高のショウになりました」と義理堅く謝意。感じる/生きてる/仲間も僕も笑ってる――リリックを地で行くスタイルのごとく「Living In This World」へと移り、収録されたアルバム『90’s Baby』の引き金となった作品と言っても過言ではない50セント「21 Questions」のビートチェンジも贅沢に入れ込む。

 最高の相性と演奏を披露したバンドメンバーの紹介を経て、ラストソング「Wake Up」へ。「今日は最後の最後まで付き合ってもらってありがとう。最高に1日になりました!」と再び観客へ感謝の意を示し、WILYWNKA初のビルボードライブ公演は幕を下ろした。ステージ後方のカーテンがオープンされていく形でのラストパフォーマンスだったが、遠方から見てもわかりやすいほどにWILYWNKAの表情も開放的だったのが、とても印象に残るスマートカジュアルな一夜となった。

TEXT: Koro Sato / PHOTO: cherry chill will.

【SETLIST】

apple music 
spotify 

M01 Good Fellows
M02 No Worries
M03 Direction By Me
M04 2020
M05 Return Of The Rap
M06 That’s Me
M07 Excuse Me
M08 Company Flow
M09 Gorgeous
M10 What You Need?
M11 Dying Love
M12 Don’t Forget
M13 Soul One
M14 Rapper’s Flow
M15 RICHMAN
M16 Feeling Like
M17 Chill Out
M18 Living In This World
M19 Wake Up

[LIVE REPORT]XEONWORLDVIEW SPACE TRIP 2023

 Leon Fanourakis、SANTAWORLDVIEW、Xanseiの3人が今年2月にリリースしたEP『XEONWORLDVIEW』、さらに新曲2曲とフィーチャリング・アーティストを招いた7曲のリミックスを加えた4月の『XEONWORLDVIEW DELUXE』の配信を追い風にしたXEONWORLDVIEWのワンマンライブ「XEONWORLDVIEW SPACE TRIP 2023」が渋谷Spotify O-EASTにて開催された。

 「SPACE TRIP」というタイトルよろしく、冒頭からSANTAWORLDVIEW朗読による“旅のしおり”的な活字イントロダクションがステージ中央の液晶に映し出され、出航のアニメーションとともにLeon Fanourakisのソロステージから火蓋は切って落とされた。

「1234」「NO LIGHTS」を軽やかにこなし、SANTAWORLDVIEWとの共演曲「Tryna Be The G.O.A.T.」のトラックが鳴り響くと、Xanseiがバブルガン片手にステージに参戦、さらに舞台袖から颯爽と現れるSANTAWORLDVIEW。




 本日一発目となる大歓声に包まれるなか、続けざまに季節先取りの「慌てん坊のサンタクロース」から「JET MODE」で会場は大合唱旅行へ。そして本日1人目となる客演アーティスト・Only Uが合流して「I DO」をパフォーマンスし、Leon&SANTAが互いのソロ/客演参加曲を矢継ぎ早に披露。


 一度トリオがステージからはけると、再びステージ中央の大画面ではXEONWORLDVIEW宇宙旅行アニメーション劇場第2幕「猿の惑星」が始まる。ここでオーディエンスの期待を裏切らず、MIYACHIを引き入れた「俺らは猿」で会場には大きな振動が。


そのヴァイブレーションが起きることを予測していたトリオは、宇宙旅行劇場第3幕「誘惑の惑星」を公開すると、もったいぶらずに「エロくていい女」から¥ellow Bucksを招いての「GOOD PU$$¥」と一気に畳みかける。

なおも加速を増すXEONWORLDVIEW号は、¥ellow BucksとSANTAWORLDVIEWの共演曲「Grow Up」、AKLOを呼び込んでの「LEGACY」と尋常ではないエネルギーを放出する。


 さすがにエンジンをかけすぎたか、MCでクールダウンを促す――かと思ったら「IKKI」で攻撃の手は弛めず。Leon FanourakisとXanseiが互いに腕をクロスさせて酒を飲み干し合うと、総勢10名のダンサーがステージを占拠し、ダイナミックなパフォーマンスで会場の熱気を上昇させる。


ダンサーがステージから去るなり、「TOBE!!!」「BOUNCE」とトリオで熱気を維持しつつ、再びLeonのソロパフォーマンスへ。

「Jitsuryoku」でHideyoshiとralphが馳せ参じると、XEONWORLDVIEW号の圧力は一気に上昇し、ralphステイのままデラックス版に収録された新曲「DAISOUSA」へ突入。

 会場に訪れたオーディエンスという乗組員たちは誰も疲れを見せず、縦横無尽にブチ上がっている。そんな疲弊しない乗組員たちのヴァイブスは、LEXとの「ブチ上げ戦隊」で最高潮へ。そこにお返しとばかりにLEX名義の「NiPPON」でLeonとSANTAが援護射撃をすると、再度ralphがステージに舞い戻り、揃ったメンツよろしく「CHAMPION」で大団円を迎えた。

 がしかし、一筋縄でいかないXEONWORLDVIEW号は進路を変更、アンコール「俺らは猿」で会場に引き返し、約1000人の乗組員たちと素晴らしきSPACE TRIPを讃え合った。

そして、ステージから去って行く3人の後ろ姿を照らす乗組員たちの携帯の液晶は、また違う惑星へと向かう彼らを照らし出す銀河のようにも見えた素晴らしい夜となった。

文:佐藤公郎
写真:24young

「XEONWORLDVIEW SPACE TRIP 2023」
2023年7月30日 渋谷Spotify O-EAST セットリスト

▶︎Apple  ▶︎Spotify

M01 1234
M02 NO LIGHTS
M03 Tryna Be The G.O.A.T.
M04 慌てんぼうのサンタクロース
M05 JET MODE
M06 I DO feat. Only U
M07 俺らは猿 feat. MIYACHI
M08 エロくていい⼥
M09 GOOD PU$$¥ feat. ¥ellow Bucks
M10 GROW UP feat. ¥ellow Bucks
M11 LEGACY feat. ¥ellow Bucks, AKLO
M12 IKKI
M13 TOBE!!!!
M14 BOUNCE
M15 F9ck it up
M16 BOPTISM
M17 Jitsuryoku feat. Hideyoshi, ralph
M18 DAISOUSA feat. ralph
M19 GODZILLA Freestyle
M20 PINK JUICE
M21 SNIFF
M22 ブチ上げ戦隊 feat. LEX
M23 NiPPON feat. LEX
M24 CHAMPION feat. LEX & ralph
アンコール
M25 俺らは猿

【チケット販売開始】WILYWNKA PARK ZEPP TOUR 2022

6/17(金)に発売される3rdアルバム『COUNTER』を引っ提げて、WILYWNKAが東京・大阪・名古屋・福岡・札幌の全国5ヶ所のZEPPにて「WILYWNKA PARK」を開催!

8/9 (火) 名古屋 ZEPP NAGOYA
8/17 (水) 札幌 ZEPP SAPPORO
8/21 (日) 福岡 ZEPP FUKUOKA
8/24 (水) 大阪 ZEPP OSAKA BAYSIDE
8/30 (火) 東京 ZEPP DIVERCITY TOKYO

OPEN 18:00
START 19:00
🧑🏼‍🦱未成年入場可👧🏼

🎫チケット情報

♦︎FC先行(抽選)
本日6/8(水)12:00〜明日6/9(木)23:59まで受付
https://fanicon.net/ticket/1432

♦︎オフィシャル一次先行(抽選)
6/10(金)12:00〜6/21(火)23:59まで受付
https://eplus.jp/wilywnka/